クラフトジンの選び方|初心者でも失敗しない6つのポイントとおすすめ銘柄

一番「自由で楽しいお酒」の話をしませんか?

クラフトジンの世界は、今や“お酒好き”の枠を超え、ライフスタイルやギフトシーンでも注目を集めています。ボタニカルの種類や製法にこだわった個性豊かなクラフトジンは、自宅でも手軽にバー気分を味わえる優れもの。
身近なところではサントリーの翠 SUI ジンソーダが有名かもしれません。

「ジンって、バーで気取って飲む強いお酒でしょ?」 もしそう思っているなら、今のジンを知らないのはちょっともったいない。

私が思うに、「今、世界で一番進化していて、面白いお酒は間違いなくクラフトジン」ということです。

クラフトジンの作り方は驚くほど自由。

ベースになるのは、なんとミカンやリンゴ、桜の花、紅茶、山椒、コーヒー……。作り手が「これが美味しい!」と思った素材(ボタニカル)を自由に詰め込んでいるから、味も香りも千差万別なんです。

難しい知識も、シェイカーもいりません。お気に入りのボトルを買ってきて、氷を入れたグラスに注ぎ、キンキンに冷やしたシュワシュワのソーダで割るだけ。

たったそれだけで、いつもの部屋が爽やかなハーブ園になったり、フルーツ畑になったりします。

それはまるで、「大人の極上サイダー」

今回は初心者から通向けまで15種類のクラフトジンを揃えてみました。

ビールやハイボールもいいけれど、今日はちょっと気分を変えて。あなたの好みにドンピシャでハマる、推しの1本を探す旅に出かけてみませんか?

※価格はすべて執筆時点での参考価格(大手ECサイト・量販店を基準)です。時期や店舗により変動することに注意してください。また本記事のリンクにはアフィリエイトを含む場合がありますが、選定・評価は筆者の判断によるものです。


味のタイプで選ぶ

失敗しにくいど真ん中で選んでみる
初めてクラフトジンを選ぶ際に失敗しにくいのは「シトラス(柑橘)系」です。

昔ながらのドライジンは、ジュニパーベリー(ヒノキ科の針葉樹「ジュニパー」の果実)の香りがガツンと前に出ることが多く、人によっては「薬っぽい」と感じるかもしれません。

しかし、今のクラフトジンの主流は、レモン、ライム、柚子、オレンジピールなどの「柑橘系」をメインに使った、フレッシュでクリアなタイプ。この系統は、日本人の味覚に馴染み深く、ソーダで割っても風味が痩せにくいのが特徴です。
そこをまず選んでみると失敗しにくいと思います。

シトラス(柑橘)系クラフトジン5選

銘柄名産地アルコール度数参考価格(700ml/税抜)バイヤーからのコメント
サントリー ジャパニーズクラフトジン ROKU<六>日本(大阪)47%4,000円前後柚子や桜など、四季のボタニカルを使用。まず試すべき国産ジンの王道。 華やかな香りでソーダ割りが絶品。
SAKURAO GIN ORIGINAL日本(広島)47%2,100円前後広島産の柑橘(レモン、ネーブルなど)が豊かに香る、非常にフルーティーで飲みやすい一本。価格も手頃で入門に最適。
ボンベイ・サファイアイギリス40%2,500円前後伝統的ながら、レモンやアーモンドの香りが優しく、刺激が少ない。クセが少なく、カクテルのベースとしても優秀。
タンカレー ナンバーテン (No. TEN)イギリス47.3%4,000円前後フレッシュな柑橘を贅沢に使用。非常にクリーンで洗練された味わい。ロックやマティーニにしても美味しい高級感。
ザ・ボタニスト (The Botanist)スコットランド(アイラ島)46%3,800円前後22種類のアイラ島産ハーブを使用。柑橘とハーブのバランスが良く、爽やかで奥深い。 飲みごたえも十分。
ウィルキンソン ジン 47.5度日本(栃木)47.5%1,500円前後ニッカウヰスキーが手掛ける高品質なドライジン。シトラスのニュアンスが強く、非常にコスパが高い。

飲み方で選ぶ

自宅で楽しみやすいで考えてみる。
とりあえず「ソーダで割って美味しいか」で考えてみるのも良いかもしれません。

「クラフトジンはトニックウォーターで割るのが定番」というイメージがありますが、トニックは甘く、苦味も強いため、繊細なクラフトジンの個性を消してしまうこともあります。

自宅で日常的に、かつシンプルに楽しみたいなら、「ソーダ割り(ジンソーダ)」で真価を発揮するジンを選ぶのが正解です。シンプルなソーダで割っても、香りが弾けるようなジンは、それだけで名作です。

アルコール度数が45度を超える「ボタニカルの濃度が高い」ジンです。なぜなら、薄いソーダで割った時でも、その香味成分がしっかり残り、爽やかさと風味の両立を実現してくれるからです。まずは「ソーダだけで満足できるか」を試金石にしましょう。

濃厚で力強いクラフトジン5選

銘柄名産地アルコール度数参考価格(700ml/税抜)バイヤーからのコメント
季の美 勢(KINOBI SEI)日本(京都)54%6,000円前後季の美のハイプルーフ(高アルコール)版。ソーダで割っても負けないパンチと、シトラス系の香りが弾ける。
シップスミス V.J.O.P. (Very Juniper Over Proof)イギリス57.7%6,500円前後ジュニパーを強調しつつも、クリアな味わい。ジン愛好家も唸る濃厚さで、ソーダ割りにすると圧倒的な存在感。
サイレントプール (Silent Pool)イギリス43%5,000円前後24種のボタニカルを使用。フローラルで複雑な香味が、ソーダで割ると繊細に広がる。上品で余韻が長い。
ヘンドリックス ジンスコットランド44%4,200円前後薔薇ときゅうりの風味が独特。ソーダやトニックで割ると、その個性的なアロマが際立つ、非常にモダンなジン。
季の美 京都ドライジン日本(京都)45%5,000円前後玉露や柚子など和の素材を活かし、バランスが非常に優れている。ソーダ割りの「まとまりの良さ」は随一。

香りで選ぶ

好きな香りで選んでみる。「理屈」よりも「直感」でOK。

味覚や知識よりも先に、嗅覚が「好き」「嫌い」を教えてくれます。クラフトジンは、まさに飲むアロマテラピー。自分の好きな香りに似た系統を選ぶのが、失敗しない最短ルートです。

大きく分けて、以下の3つの系統を意識してみてください。

  1. フローラル系: 桜、バラ、エルダーフラワーなど。華やかで優しい気分に。
  2. ハーバル系: ミント、ローズマリー、茶葉など。清涼感があり、スッキリしたい時に。
  3. スパイシー系: 山椒、カルダモン、シナモンなど。複雑で深い味わいを求める時に。

ジンは「ボタニカル(天然の素材)」の個性で成り立っています。そのため、あなたの好きな紅茶の香り、好きなアロマキャンドルの香り、好きなハーブティーの香りが、そのままジンの選定基準になります。「知識よりも、あなたの鼻を信じる」のが、クラフトジン選びの醍醐味です。

個性ある香り高いクラフトジン5選

銘柄名産地アルコール度数参考価格(700ml/税抜)バイヤーからのコメント
ヘンドリックス ジンスコットランド44%4,200円前後(再掲)薔薇ときゅうりというユニークな組み合わせ。まさに飲む香水のようなフローラルな香りで、初心者でも感動しやすい。
エンプレス 1908 (Empress 1908 Gin)カナダ42.5%4,000円前後バタフライピー(ハーブ)で着色された鮮やかな青紫色。トニックで割るとピンク色に変化し、見た目の華やかさが段違い。
モンキー 47 シュヴァルツヴァルト ドライ・ジンドイツ47%5,500円前後47種のボタニカルを使用。柑橘、フローラル、スパイシーが複雑に調和。アロマの奥行きを楽しむならこれ。
ジェネラス ジン (Generous Gin)フランス44%5,500円前後シトラスに加え、ジャスミンなどの白い花の香りが特徴。ボトルのデザインも優美で、「ジャケ買い」にも最適。
バッチ ジン (Batch Premium Gin)イギリス46%5,000円前後フランキンセンス(乳香)を使用。フローラルで少しスモーキーな個性。上品で洗練された香りを求める方に。

ベーススピリッツ(原料)で選ぶ

口当たりの良さを左右する隠れたポイント

多くの人が「ボタニカル(ハーブや果実)」に注目しがちですが、実はジンの質感を決めるのは、その土台となるアルコール(ベーススピリッツ)です。

  • 失敗しないポイント:
    • お米・焼酎ベース: 日本のクラフトジンに多いタイプ。口当たりがまろやかで甘みがあり、アルコールの「ツン」とする刺激が苦手な人でも飲みやすい。
    • 小麦・大麦ベース: ウイスキー好きにおすすめ。穀物の香ばしさや骨太な飲みごたえがある。
    • ブドウ・リンゴベース: ワインやブランデーの搾りかすなどを使用。フルーティーで華やか。

「香りはいいけど、アルコールがキツくて飲めなかった」という失敗は、ベーススピリッツの相性によることが多いです。日本酒や焼酎に馴染みがある方には、まず「ライススピリッツ」を使ったジンを勧めると、すんなり受け入れてもらえます。

ライススピリッツを使ったクラフトジン5選

銘柄名産地アルコール度数参考価格(700ml/税抜)バイヤーからのコメント
クラフトジン岡山日本(岡山)50%2,800円前後老舗酒造が米焼酎ベースで製造。桃のニュアンスがあり、度数は高いのに驚くほどまろやか。
KOMASA GIN – ほうじ茶日本(鹿児島)40%2,500円前後米焼酎ベース。ほうじ茶の香ばしさと米の甘みが完璧に融合。食中酒としても最強の一本。
WA BI GIN 和美人日本(鹿児島)45%3,800円前後伝統的なジンに金柑や生姜を加えた、鹿児島の「大地の香り」。米麹由来のふくよかさが特徴。
135° EAST 兵庫ドライジン日本(兵庫)42%2,200円前後山田錦のライススピリッツを使用。アクセントに少量の純米酒をブレンドしており、余韻が日本酒のように優しい。
JIN7 Series 00日本(鹿児島)47%3,300円前後指宿の老舗焼酎蔵が作る、日本最古のハーブ園のボタニカルを使用。米ベースのクリアな甘さが際立つ。

産地で選ぶ

味が想像しやすいを利用してみる

クラフトジンは「その土地の名産品」の集合体です。知らない国の知らないスパイスが入ったジンは冒険ですが、知っている土地のジンは「味の想像」がつきます。

  • 失敗しないポイント:
    • 日本のジン(特に自分の出身地や好きな観光地): 柚子、お茶、山椒、ヒノキなど、日本人のDNAに刻まれた香りが多く、味覚的な「拒絶反応」が起きにくい。
    • 南国・地中海: シトラスやトロピカルフルーツ系が多く、爽やかで失敗が少ない。

ボトルに記載しているラベルを見て迷ったら「今、旅行に行きたい場所」で選んでみてください。京都のジンならお茶や出汁のニュアンス、広島ならレモンや牡蠣の殻。土地のイメージと味はリンクしているので、大外れはしにくいです。

産地の特徴が際立つクラフトジン5選

銘柄名産地アルコール度数参考価格(700ml/税抜)バイヤーからのコメント
ジン・マーレ (Gin Mare)スペイン42.7%4,500円前後地中海のオリーブ、バジル、ローズマリーを使用。飲むと地中海の風が吹くと言われる名作。トマト料理と相性抜群。
マルフィ ジン・コン・リモーネ (Malfy Gin Con Limone)イタリア41%3,500円前後アマルフィ海岸のレモンを使用。強烈に爽やかなレモン感は、太陽の下で飲むのに最高。
アイル・オブ・ハリス・ジン (Isle of Harris Gin)スコットランド45%7,500円前後アウター・ヘブリディーズ諸島の「シュガーケルプ(昆布)」を使用。海の香りと甘みが広がる、入手困難な人気銘柄。
まさひろオキナワジン日本(沖縄)47%3,000円前後シークヮーサーやグァバの葉を使用。泡盛の技術が生きた、トロピカルでエネルギッシュな味わい。夏に最適。
サイゴン バイガー (Saigon Baigur)ベトナム43%6,500円前後仏手柑(ブッシュカン)や蓮の花を使用。エキゾチックでスパイシーなアジアの空気感をボトルに凝縮。

ボトルデザイン(ジャケ買い)で選ぶ

人の直感は意外と正しい。

「そんなバカな」と思いますが、クラフトジンの作り手は、ボトルのデザインと中身の味わいを徹底的にリンクさせています。

  • 失敗しないポイント:
    • 透明・水色系のボトル: すっきり、爽やか、柑橘系であることが多い。
    • 濃い色・重厚なボトル: スパイシー、濃厚、複雑な味わいであることが多い。
    • 可愛い・ポップなラベル: フルーティーで甘やか、初心者向けであることが多い。

「見た目が好み」という直感は、実は最大の成功法則です。部屋に置いておいてテンションが上がるボトルであることは、自宅で楽しむ上で味と同じくらい重要だからです。
飲み終わった空のボトルも自分の好みを記録するインテリアにも。

ボトルデザインがユニークなクラフトジン5選

銘柄名産地アルコール度数参考価格(700ml/税抜)バイヤーからのコメント
マーメイド ジン (Mermaid Gin)イギリス42%6,000円前後人魚の鱗を模した彫刻ボトルが圧倒的に美しい。中身も海藻を使ったソルティで滑らかな味わい。
エンジン (ENGINE Pure Organic Gin)イタリア42%4,000円前後まさかの「モーターオイル缶」デザイン。車好きやガレージのインテリアに最高。中身はセージとレモンの爽快系。
ジェネラス ジン (Generous Gin)フランス44%5,500円前後白い陶器のようなボトルに植物の絵柄。まるで高級ブランドの香水のような佇まい。味もフローラルでエレガント。
ドラムシャンボ ガンパウダー アイリッシュ ジンアイルランド43%4,000円前後青いリブ入りのガラスボトルが幻想的。東洋のスパイスと緑茶を使った、ミステリアスな雰囲気の一本。
エツ ジン (Etsu Gin)日本(北海道)43%4,500円前後浮世絵風のイラストが描かれたインパクト大のボトル。海外で大人気の「ジャパニーズ・デザイン」で、お土産にも喜ばれる。

最後に

「ジンって、面白そうかも」 もし今、少しでもそう感じていただけたなら、その好奇心が冷めないうちに、ぜひ次のアクションを起こしてみてください。

やることはシンプルです。今日、仕事の帰りに近くの酒屋さんやスーパーのリカーコーナーを覗いてみる。あるいは、気になった銘柄をポチッと検索してみる。それだけです。

もし店頭で迷ったら、この記事のリストを思い出してください。
そして、ボトルを買う時は、「強めの炭酸水」を一緒にカゴに入れるのをお忘れなく。それが、自宅を最高のバーに変えるための切符です。

難しく考えず、まずは「大人のサイダー」を楽しむ感覚で。
あなたと、運命の一本との出会いが、最高に美味しいものになりますように。

※このページでご紹介しているお酒は、すべて20歳以上の方が楽しむためのものです。
未成年の方の飲酒は法律で禁止されていますので、雰囲気だけ楽しんでいただけたらうれしいです。

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